オイルは身体(皮膚)に良くて、エタノールは身体(皮膚)に悪いという風潮がありますね。
はたして本当でしょうか?
どちらも、その成分の由来と作られ方が大切
オイル(油脂)は皮膚をしっとりさせ、アルコールは皮膚を乾燥させてしまうというイメージがあります。
ただ、「オイル」「エタノール」とひとくくりにせず、成分の“由来”と“作られ方”に注目しましょう。
オイルは鉱物油(石油)や合成油剤成分と、天然の油剤成分があり、アルコールも、石油由来のものと植物を発酵してとれたものがあるのです。
石油を精製して作られたオイル
・ミネラルオイル(流動パラフィン)
・ワセリン
・パラフィン
などがあります。ちなみにミネラルオイルはベビーオイルにも使われています。
酸化しにくく、安価です。
肌には浸透せず、油膜をつくるだけになります。栄養分はありません。
石油原料から合成して作られた成分
・オクチルドデカノール
・イソステアリン酸イソプロピル
・イソステアリン酸オクチルドデシル
・エチルヘキサン酸アルコル
・オクタン酸セチル
・ジステアリン酸エチレングリコール
・ジペンタエリットリット脂肪酸エステル
・リシノレイン酸オクチルドデシル
などがあります。
伸びが良く、使い心地が良いとの理由で、様々な化粧品やヘアコンディショナー、UVクリームなどに使われています。
合成の油剤は、浸透性が良いという性質がありますので、石油由来の成分が皮膚に浸透してしまいます。
結果的に、お肌の乾燥やくすみなど、様々なトラブル原因にもなる可能性があります。
天然の植物オイル
・オリーブ油
・ホホバ油
・アーモンド油
・マカデミアナッツ油
・ひまし油
・シアバター
・カカオバター
などがあります。これらの天然の植物性油脂は、実や種を物理的に圧搾して抽出したものです。
植物油は肌に浸透する性質があり、栄養分なども含まれていて皮膚にも身体にも良いです。ただ、アーモンドなど特定の植物へのアレルギーがある方は注意しなければなりません。
また、酸化しやすいという難点もありますが、同時にビタミンEを含んでいれば酸化しにくいオイルとなります。
化粧品のアルコール(CH3CH2OH)の種類
一般的に、化粧品でいうアルコールとは、エタノール(エチルアルコール)のことを指しています。その為、アルコールフリーといっても、エタノール以外のアルコール成分が入っている場合もあります。ここでは、エタノールについて書きますね。
エタノールには、石油の副産物から工業的に生産されているものと、酵母を使って果実や穀物を発酵させて得たものがあります。
石油由来のエタノール(エチルアルコール)CH3CH2OH
・石油から得られるエチレンから、化学合成して作られたもの。
植物由来のエタノール(エチルアルコール)CH3CH2OH
・果実や穀物のデンプンや糖蜜をアルコール発酵させて作ったもの。
植物由来で天然の酵母を使用して発酵させたエタノールは、化学式は石油由来と同じでも、化学式にあらわせられない微量成分が多く含まれ、酵母の力も違います。
アルコールフリーを謳う化粧品が生まれた背景
確かに、どちらのエタノール(アルコール)も、皮膚を冷やす(清涼感)効果があります。水分が揮発するときに熱を奪うからです。
その為、皮膚を乾燥させるという話があり、皮膚の弱い人は植物発酵エタノールでさえ刺激となり化粧品ではアルコールフリーを強調されることとなりました。
日本酒を入れたお風呂の美容法もあるように、アルコールは必ずしも美容の敵ではありませんね。
合成物か自然の力を生かしたものを使うかは、どちらの成分をお肌に直接つけたいのか、後々の影響まで考えたご自身の判断と選択が重要でしょう。